精神科医が典型的な「うつ病」と判断する時の条件を考えてみます
「自責感」と「きっかけ」「年齢」「症状」、このすべての条件が典型的なときにはまず「うつ病」だと判断します。
「自責感」
日常生活や職業場面でできないことを「自分の努力が足りない」などと自分を責める気持ちが強いこと。
「きっかけ」
自分や環境の変化、体調不良などの明かな不調のきっかけがないこと。
不調のきっかけがあったとしても、その落ち込みの程度や期間が後を引きすぎていること。
お酒の飲み過ぎではないこと。
「年齢」
40代以降であること。
「症状」
睡眠が障害されていること。典型的には朝早く目が覚めてしまうこと。早朝覚醒。
もともとの楽しみごとをする気にもならなくなっていること。興味関心の減退。
食欲低下。明らかな体重減少があること。
逆に言うと、この条件がそろわない時には、「うつ病」ではない他の診断の可能性を考えます。
例えば、30代以下で明らかなうつ状態となっている時には、「躁うつ病のうつ状態」ではないかと疑って必ず軽躁状態の経験を確認したりします。
「うつ病」の可能性が高い、と判断したら、あとはどのように精神科治療を勧めるのか、薬物療法は何から始めるのか、などを考え始めます。
率直な話、「うつ病」だと診断すれば、精神科医としてはほっと一息です。