「適応障害」にであうとき
「うつ」の人からの診断書に、「適応障害」という病名が書かれてくることがあります。
「適応障害」も「うつ」の中のひとつ。逆に言うと、「適応障害」でも「うつ状態」になります。
環境の変化から
「適応障害」とは、その人が環境の変化などに適応できない時に「うつ状態」などのメンタル不調になる、ということを精神医学的に病名を付けたものです。だれでも環境変化が起きたときには多少落ち込んだり、疲れたりするものです。それの程度や期間がひどいものを「適応障害」といいます。一般に言う「ストレス」がひどいときになります。
どんな人がなりやすい?
それまでの人生でうまくやれていた人の方が、うまくやれなくなったときに落ち込みが大きい、つまりひどい適応障害になることもあります。それまでに挫折した経験がないエリートは打たれ弱い、ということで腑に落ちるかと思います。
どんなことがきっかけになるの?
周囲の環境の変化でも、自らの変化でもなります。
配置転換、昇進、上司の交代、役割の変化、
引っ越し、結婚、妊娠、出産、
交際相手との別れ、子どもとの離別、家族との死別、
自分や家族の病気、自身の老化、
人生のストレス源はすべて「適応障害」のきっかけになります。
うつ以外にも
適応障害によって起きてくるメンタル不調は「うつ状態」だけとは限りません。
妄想的になる人、軽躁的になる人、人が変わったようになる人もいます。
どう良くなるの?
以上のように、「適応障害」は環境変化に反応してストレスが強まったために起きるので、時間が経ってその環境に慣れたり、対応できるようになったり、ストレス源から離れたりすれば回復するはず、です。
でも一度大きく動揺すると、環境変化が落ち着いたりそれから離れてもしばらく後を引いて不安定さが続いてしまう人もいます。
抗うつ薬などの薬物療法は一番つらい時期を乗り越えるためには有効な手段であることもあります。
でも本質的には、一山超えた後に、そのストレス源や環境の変化に本人が対処できるようになった感覚を手に入れてもらうこと、その経験を振り返ってよりタフになることが回復の本体です。
薬なんかではなくて、その回復をお手伝いするのが精神科医の本当の仕事だと思ってます。