軽症うつ病の治療法について、統計的に意味のある対処と私が診療した時にどうするのか書きます。
「職場のー」からは少し離れますが、
できるだけ医学的なことではなくて、ただのメンタル系産業医が臨床的に考えていること、の視点で書きます。
|軽症うつ病への”治療”|
軽症うつ病には、統計的には抗うつ薬は有効ではない、と書きました。
では何が統計的に有効なのか、というと、
- 休息を増やすこと、
- 適量のバランス良い食事、
- 規則正しい生活、
- 運動療法、
です。
- 統計以前の対処として、禁酒、もあります。
とってもつまらん話になってきました。(汗
でも、真面目に考えるとこんなことに尽きるのです。
薬物療法が効果がないわけで、逆説的には軽症うつ病は「病気」ではない、と言うこともできるかもしれません。
|私の診療では|
まず、軽症うつ病と判断されるような患者さんには<「うつ病」ですね>とは伝えません。
誤診になり、患者さんに害になる可能性があるからです。
(うつ病でないものをうつ病と誤診してラベリングしてしまう害悪についてはいつか書きます)
治療して改善した後に見直して、<この方は軽症だけれどうつ病だったのだな>と判断することはあります。
薬物療法は、
希望されれば睡眠を深くすることを主眼に睡眠薬や抗うつ薬を処方します。
漢方薬も良い選択肢になります。
他に行うのは、睡眠指導と運動療法の勧め、そして禁酒の指示です。
睡眠指導については、飲酒の害、カフェインの害、たばこの害、ブルーライトの害などを説明します。(詳しくはあとでまとめて書きます)
運動療法は、散歩(ウォーキング)、サイクリング、スイミング、徒歩通勤、自転車通勤などを勧めます。(これも乞うご期待)
禁酒は、「統計以前の問題」でした。
アルコールは脳の活動を妨げ、うつの直接的な原因にもなる薬物だからです。統計の不確実要素というより、明らかなマイナス要素です。
アルコールの不適切使用を確認し、その害を説明します。(これもまたまとめて書きます)
煮え切らない話ばかりになってしまいました。
でも、診療が簡単かと言うと、まったくそんなことはありません。
説明がこの項で終わらないように、軽症うつ病(かもしれないうつ状態)は診療に時間がかかるのです。
|中等症、重症のうつ病だったら?|
中等症、重症のうつ病であれば、まずは抗うつ薬が効いてくるまではあれこれ言っても意味がありません。
何故ならうつ病の病状によって思考がうまく働いていないから、話が通じる状態ではないからです。
<ともかく今は休みましょう、薬を飲んで、聞いてくるまで待ちましょう>と伝えるばかりです。
薬が効いて休息が取れてうつ状態が改善してきたら、改善を加速させ再発を防止するために精神療法的な対応を始めます。
今回はこれくらいで。続きます。