『うつ状態』イコール『うつ病』、ではありません!!
「状態」ってなにさ?
「うつ状態」は、「うつ」の症状が組み合わさってできる「状態」のひとつ、です。診断には症状→状態→疾患といった順番があります。「うつ状態」は疾患診断の手前の状態像診断です。
「うつ状態」の理由
「うつ状態」になるにはいろいろな理由があります。
大切な人との離別、失職、といった落ち込んで当然の理由から「うつ状態」になりますし、仕事でうまくいかない、忙しすぎて寝不足、悩みすぎて眠れない、といった疲労や苦悩の蓄積でも「うつ状態」になります。「うつ病」では当然「うつ状態」になりますが、「躁うつ病」でも、「統合失調症」でも「うつ状態」にはなります。
大事なのは「『うつ状態』イコール『うつ病』、ではありません!!」ということ。
なんで使うの?
では、なんで「うつ状態」などという中途半端な状態像診断を本人に伝えたり、診断書に書いたりするのでしょう?
疾患診断を保留するためと、誤用を避けるためです。
保留するのは、
「うつ状態」からどうなっていくかで診断が変わるので、その段階では診断を保留しておく、ということです。
誤用をさけるのは、
「診断名によって本人に不利益を出してはならない」ことは人権の基本ですが、そのように注意されるのは不利益な扱いをされることがあるからです。誤用防止の手段として、誤用されるおそれが少ない「うつ状態」という状態像診断を伝えるに留めることがあります。
診断を伝えるということと診断書
診断を伝えることは、回復につなげるための治療行為です。タイミングや聞く人の理解の度合いをはかり、伝えるために努力をつくす必要があります。
診断書はタイミングや読み手の理解をはかることとは無縁です。なので正確性よりは安全性が最優先になります。