メンタル系産業医が職場の「適応障害」の回復にどう付き合っていくのか。その3です
復職に向かうために必要な「繰り返さないための行動」はどうやって考えるのか、という話。
本人からその工夫がスムーズに出てくれば、もう満点。
でも出てこないことの方が多い。
じゃあどうするか。
本当のところは、復職してどう行動するかは主治医と考えてきてほしいものだとは思う。
でも、その力(アタマ?)がない主治医も多い(そっちのが多い)
でもまあ、嘆いていても始まらないので、本人と一緒に考えてみる、という作業が大事になる。
キーワードは<今度はどうしましょうか?>
まずは「客観性をもった不調の時期の振り返り」を本人と一緒にする。
そこから<もう一度その状況になるとしたら、今度はどうしましょうか?>と問いかける。
「睡眠時間が減っていた」「助けて、と言えなかった」といったまあ普通の回答から、
「ランニングの走り込みがたりなかった」「インコのピーちゃんとの時間が足りなかった」といったひとひねりある回答まで出てくると思う。
その自己分析や大切にしたい事柄は「正しい」必要はない
オリジナリティが高い希望の場合には、それがどのように役に立つのか、を訊いていくと、ほぼ間違いなくそれが生活リズムの維持に関係していることが明らかになってくる、ですよ。
かなり変わったこと言って来たらどうしよう?
例えば「身を清め、信心することが足らなかった」というのでも、考えるスタート地点としてはそれでOK
<なるほど。その信心を高めるためには?>と聞いていきます。
「祈りが足りなかった、夜中まで祈らなくては」などとずれていったとしても、
<でもそれだと生活リズムがくずれてまた不調になってしまいませんか?祈りの熱心さは時間の長さ次第ではないと思うのだけれど?>などと修正していきます。
<繰り返さないためには?>と問いかけを繰り返していくと、間違いなく聞いている側も<そういう風に大事なのですね>と思えるような着地点になっていきます。
つづく