メンタル系産業医が職場の「適応障害」の回復にどう付き合っていくのか。その4です
最終回である今回は、「適応障害」からの回復のゴールについて。
「客観性をもった不調の時期の振り返り」と「繰り返さないための行動の準備」ができて、そこからはメンタル不調からの回復に共通の過程。
まず本人の側の余裕が回復して、少しずつ仕事に合わせられるように、適応できるようになっていく。
回復はしていくわけだけれど、何もなかったことになるわけではない。
では、「回復した」というのはどんな状態だろう?
言い換えれば、メンタル系産業医はどの境地を目指しているの?という話
復職して、半年から1年たったら、
本人に「貴方は今回の経験からどんなことを手に入れましたか?」と問いかけます。
表現は「手に入れた」であったり、「学んだ」「気づいた」「教えられた」であったり、いろいろであるけど
明確に「こんな学びを得ました!」と話すほどきれいにまとまっていなくてよくて、
「そうですねー、ちゃんと朝飯は食べて、自分の体調に気を使った方が良いということがわかりました」くらいのことが振り返れればOKかな。
つまづきからの学び
「失敗学」といわれたり、「Lessons Learned」と表現されたり。さらには「PTG(Posttraumatic Growth;心的外傷後成長)」という状況も指摘されています。
「人はツライ目に逢っても、それから回復するとこでより強くなれる」という捉え方です。
筋トレ後の「超回復」もこれと似た考えなのかな、などとも思ったりします。
そのような考え方のフレームシフト、リフレーミングができること、それが「回復した」ということではないかな、と考えています。
「それが正しい!」と言いたい訳ではなく、「へー、そんな考え方もあるのか」くらいに肩に力はいらずに捉えられることが順調なところかな。
そんなゴールを目指して働く人のメンタルヘルスの現場で対応しています。