産業医は主治医より情報が多い
そもそも、主治医が見立て違いをしてしまうのは、
一つには、主治医は多くの場合、本人からしか情報を得られないから。
うつ状態は本人にとっても苦痛なので自覚は難しくありませんが、
軽躁状態は気分爽快に快活な状態であり、自分から軽躁状態と気づくことはまずありません。
本人は診察室では「元気になりました!」と軽やかに言うでしょう。
そのため、本人の味方であり意向を尊重することが本分である主治医には、すぐに軽躁状態と気づくことは困難です。
一方産業医は、上司などの同僚から見た客観的情報と、仕事への影響という定性的な情報を得られます。
この情報源の差がメンタル系産業医を「躁うつ病」の兆しに気づかせてくれます。
気づいちゃった。さて、どうしましょう
メンタル系産業医が「躁うつ病」の兆しに気づいた時、さあどうしましょう?
もし、主治医がその兆候を掴めていないようであれば、
本人の同意を得て、ぜひ主治医に情報提供するべきだと思います。
私であったら、<うつ状態から良くなったあなたの今の会社でのご様子は、うつ状態を繰り返さないためにとても重要な情報になると思うので、主治医にお手紙を出します>と説明する事でしょう。
その上で主治医が精神科医であれば十分理解できるように書いて情報提供します。
精神科医であればほぼ問題なく「躁うつ病」を治療するような方針になっていくはずです。
「適応障害」などが「躁うつ病」と見立てられている時
この場合、そもそも「躁うつ病」ではないので、薬が大量に出されることはないです。
見守っておいても、それほどひどい事にはなりません。
「適応障害」の方の仕事への向き合い方や「うつ」への捉え方への支援は、メンタル系産業医の本分です。
本人の状態が落ち着いてくると、薬のデメリットが目立ってくるようになるはずです。
職場の「躁うつ病」編はこれで一区切り
もし「もうちょっと知りたい」があったら、コメントくださいませませ。