「うつ」などの職場のメンタル不調で、上司さんから「しっかり治ってから復職してほしい」なんて言われます。
「治療してもちっとも治らないじゃないか」「薬を飲んでいる限りは治っていない」なんて言い方をする人もいます。
また、本人から「いつになったら治りますか?」と訊かれます。
そう。仰る通り、目標設定はとても大事なことです。
今回は「治る」ということについて考えてみます。
|「治る」って何でしょう?|
この疑問に応えるためには、まず「治る」という言葉の定義を共有しなくてはなりません。
|言い換えてみる|
「元気になること?」
確かにそうでしょうが、それだけではないようです。
「元通りになること?」
その「元通り」ってどんなことでしょう?
時間を戻すタイムマシーンがあるわけでなし、病気になる前の状態に戻ることはありません。
「もう二度と病気を繰り返さないこと?」
そうあってほしいものですが、生き続ける状況でそれは達成可能でしょうか?
|「治っていない」を考える|
逆に「治っていない」ということを考えてみましょう
「苦しい状態が残っている」
→ それは確かに「治ってない」ですよね。
「しばらく良かったけど病気が再発した」
→ 改善したけど、繰り返したことまでを「治っていない」に含めるのかどうか。
「薬を飲んでいるから治っていない」
→ 治療を続ける必要があると「治っていない」のか。
|繰り返す病気って|
では、「二度と同じ病気にならない」ってことはあるんでしょうか?
「インフルエンザなどの感染症」であれば「治れば」繰り返すことはないでしょうが、「心筋梗塞」でも、「がん」でも、一度「病気」になれば再発する場合があること、そのために治療を続ける必要があることは、当たり前のことです。
これは、「インフルエンザなどの感染症」が「一時的な急性の病気」であり、
それ以外の「心筋梗塞」も「がん」も「慢性の病気の発病/一時的な悪化」だからです。
「うつ」を始めとするメンタル不調も多くの病気と同じです。「慢性の病気の発病/一時的な悪化」であり、「良くなる」ことはあっても、「二度と繰り返さない」ようになるのは、命が尽きたときだけです。
|「寛解」しますって|
「うつ病が『治る』ことは、『寛解』というのだ」という説明をする医師がいます。
いきなり「寛解」とか言われたって、なんだかわかりません。
専門的には「寛解とは、病気の兆候や症状が軽減または消失すること」だそうです。
私はたぶん使ったことがありません。
わからないから質問しているのに、短く済むからと言ってわからない言葉をくっつけて説明したつもりになるのは不誠実な態度だと思います。
長くなってしまいました。
続きます