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「職場の発達障害」 「発達障害」の特性をもつ大人にどう対応するのか その3

前回は診断の話をしておきながら、「職場の発達障害」では確定診断はできないよ、診断はできない場合がそもそも多いよ、という話でした。
なんてひどい。
じゃあ、どうすんのさ、というのが今回のお話です。

|診断はできなくても工夫はして良い|
自分が発達障害の特徴に当てはまりそうだな、と思ったら工夫をすれば良いのです。確定診断は不要です。
学生時代に困っていなかった、幼少期には特徴があまりわからなかった、ということは、
「今その場では、発達障害だとは『診断できない』」ということです。
「発達障害だと思って工夫しない方が良い」ことにはなりません。
工夫はしてみたら良いのです。
 
|<あなたは発達障害です>とは言わない|
確定診断はできないし、意味がないので、情報収集が終わってからのまとめで、こちらから<あなたは発達障害です>とは私は言いません。
十分に情報収集してほぼ確信したとしてもです。
代わりに行うのは、本人が繰り返している行動/失敗について整理して、
<あなたの行動にはどうも似たようなパターンがありそうですね>とお返しすることです。
ほとんどの場合、ここまでお話してくると、ご本人も「そうみたいですね」「自分でもわかってはいたんですけどー」となります。
 
ご本人の方から「自分は発達障害だと思うけどどうか?」と言ってきたときには、<一般にはそのように言われるかもしれませんね><どうやら当てはまりそうですね>とはお返しします。
その先でどうするか、という時には<左利きの人と同じように、仕事への取り組み方、生活の仕方などに工夫が必要だと思います>と繋がっていきます。
 
|発達障害だから、治療が必要、薬が必要ですよね?|
時には「自分は発達障害だから、病院で治療を受けて/服薬して、治すことが必要だと思う」という話になってしまう方もいます。
「発達障害→精神障害→治療」「発達障害は精神科で診断される病気、病気だから治療が必要、治療と言えば薬を飲む、薬を飲めば治る」といういかにもわかりやすい思考のつながり方です。
本人よりも、関わる上司さんなどから出ることが多いかもしれません。
そのような希望に対しては、脳の特性である左利きの例えをだして、「薬効による解決」というインスタントな奇跡は望み薄であることを説明します。
 
|発達障害は発達する|
一番大切な事は「『発達障害』は発達する」ということです。
「発達障害」は<普通に対応していては(言い換えれば放っておいては)発達しにくい>ことが障害/課題です。
しかし、自分の特性について一緒に整理していくこと、工夫していくことにより、それまでよりも生活しやすく、周りの人も付き合いやすくなります。これは「発達する」ことに他なりません。
 
今回はこのくらいで。