おおた産業メンタルラボ

ブログ・お知らせ

産業医の依頼が来ましたよ。からの<あのブドウはスッパイ>の話。その1

今回は産業医としての失敗談を。
困った事態のお役には立てたと思うのだけれど、自分的には残念!になってしまった話です。


過日、とある産業医紹介会社から産業医の依頼をいただきまして。
それほど近隣でもない事業所ではあるけれど、メンタルヘルスの課題でお困りらしい。
「メンタルヘルスの対応が得意な産業医、指導力を発揮できる産業医」をご希望。

今回の訪問を依頼いただいた事業所は生産工場で、本社は首都圏、約150km離れた遠方にあるという企業体でした。
「最初の1回だけは短時間になるが本社に来てほしい、その後は生産工場に定期的に訪問してほしい」とのこと。
HPも拝見し、なかなかしっかりとした企業でいらっしゃる印象でした。

紹介会社の方と
<これは私向けの事案ですねい。ご理解いただきありがとうございます>
<最初の1回は本社にというのは、本社の重鎮にご挨拶でしょうかね>
<訪問事業所は私の活動圏ぎりぎりのところですね>
などと相談しながらエントリーさせていただき、採用のためのWeb面接の設定をお願いします。
割とお急ぎの話のようでしたが、なかなかWeb面接の日程が決まらず。数回のやり取りののち、何とか日程設定できました。


そして予定の某日。さあWeb面接。
最近読んだWeb面接で失礼になってしまう失敗談の記事を読み返し、こころしながら臨みます。
私、顔が大きいので、態度もいっそう大きく見えがちなのが気になります。
でも気にせずカメラに近づいて臨みましょう。

さて、今回の人事担当の方が熱心に状況を説明してくださいます。
従業員は、首都圏の本社は数十名。生産工場も数十名、そこに子会社の数十名が加わり100人弱になると。
内心、《あれ?どちらも50名は越えていらっしゃらないようですね?》と思いながら次の項目へ。
産業医活動として望む内容としては、
「定期的に工場を訪問し、安全衛生委員会に出席し、工場内の巡視、それと本社のリモートでの巡視、加えてメンタル不調の方への面接をしていくことを期待している」と。
《ふむふむ。工場への訪問ではあるけれど、実質2事業所の産業医業務ですねい》
《工場への訪問だから、そちらにメンタル不調の方がいらっしゃるのでしょうね》と考えながらも、まずまず普通の流れのようです。


ではいよいよ、今回の依頼に至った大きなきっかけ、メンタル不調の方の詳細を伺わせていただきましょう、と質問させていただくと、、、
「メンタル不調の従業員は、「うつ」で休職中の方が1名と、メンタル不調の診断などはついていないものの、対応に苦慮している方が1名です」と。
「双方とも本社勤務」
「休職中の方は今月末で休職期間が切れる予定で、その復職の面接を行ってもらいたい」「そのために初回は首都圏の本社に訪問してほしい」
「もう一人は、うっかりミスや思い付きでの行動、連絡忘れなどが多く、勤務年数に実力が伴ってこないが本人には全くその自覚がない。どうもネットで見るADHDではないかと疑っている。本社に来た時に本人と面接して改善するようにー」「障害者雇用も考えたいがー」

《あれあれあれ?本社は挨拶に行くんじゃないの?》
《全く会社の状況も分からず、味方の状況も分からないまま復職面接?》
《やらなくはないけど、苦労している方のようだから、もっと状況をうかがって、戻るための環境整備とか、上司さんとの打ち合わせとかの準備をさせていただけないかな?》
《実力発揮できていないスタッフの発達障害を疑っている》
《そもそも業務上の課題として取り扱われていないのに、いきなり面接して成果を出していく?》
《障害者雇用とかいきなり最終手段に飛んでるようですが…》
《本社は挨拶に行くんじゃなくてー?》
<ちょ、ちょっと待ってください。もう少し詳しく教えていただけますか?>
たしかに私向きかも。いきなり火がついてきました。

長くなってきてしまったので、続く、です。