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精神医学用語のようでいて曖昧な言葉「ノイローゼ」

多くの人が見聞きしたことはあるし、なんとなく使ったこともあるかもしれない言葉、「ノイローゼ」。

産業医面接や精神科の初診場面などでも患者さんまたはご家族から「それが原因でノイローゼになっちゃってー」などとしばしば出てくる言葉です。
でもこれって結構あいまいで、便利な言葉で、でもどんな事を言っているんでしょう?
今回はその「ノイローゼ」について書いてみます。
 

「ノイローゼ」、その元は、と言えばドイツ語“Neurose”なのでしょう。
英語だと“Neuroses”、直訳すれば「神経症」になりましょう。

「神経症」自体が最近の操作的診断基準だと消されてしまった言葉で、またこちらは別に解読してみるのが必要ですが、今回は「ノイローゼ」。
日本語になった「ノイローゼ」は必ずしも「=神経症」として使われているわけでもなさそうです。

一般用語「ノイローゼ」という言葉は、
大まかに“精神的な変調”全般を指しているのかなと思います。
たいていは“以前の状態から行動が変化したこと”を指していて、
その変化のきっかけとなるような心理的な要因、
失恋や近しい存在との死別、失職などの喪失体験などの不調のきっかけが存在した時に、
「ノイローゼになってるよ」などというのでしょう。

この「ノイローゼ」には「一時的な神経衰弱状態」といった意味が含まれていて、
「精神医療で治療が必要なほどではなく、しばらく休養を取ったら回復する状態」だとみなされているように思います。
それが「精神病」という表現との違いではなかろうか。
 

一方で、
一般の方が、「あの人はノイローゼ気味だ」と言った時にはうつ状態であることを指し、
「あの人は完全にノイローゼだ」と言っている時には精神病水準の精神変調にあることを指している、
という話をどこかで読んだことがあります。
(出所がわからなくなってしまったので、どなたかご存知でしたらコメントなどで教えてくださいm(__)m)
相手の状態を指すときには少しオブラートにくるもうとして遠慮した表現になる、ということなのかと思います。


でも、この「ノイローゼ」今の用語ですと「うつ」でほとんど代用できてしまうようです。
または「メンがヘラった」とか? 笑
ドイツ語による医学用語がほとんど使われなくなってしまったし、
DSMやICDといった操作的診断基準では神経症はないことにされてしまったしで、
「うつ」という言葉に駆逐されて、「ノイローゼ」や「ノイローゼ気味」はこのまま死語になってしまうのでしょう。
 
でも、人って弱った時ほど昔の馴染みの言葉が出てくるもので、
まだ時として「ノイローゼになりそうだ」などとつぶやいてしまう方も少なくないかもしれませんね。
でも、このままおじさん言葉で消えていくのかなー
 
今回は死語の世界のようになってしまいました。
たまにふと出あうメンタルヘルスの言葉、「ノイローゼ」でした。