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境界性パーソナリティー障害BPDの天敵、それは医療者 BPDその7

境界性パーソナリティー障害BPDについて、
・BPDに気づくためのポイント
・BPDに対処するために大切だと思うこと
・BPDとは「ボーダーライン状態」なのではないか
などつらつらと書いてきました

今回は、BPDの相手になりやすい人、BPDの天敵について書いてみます。

ちょっとおさらい


境界性パーソナリティー障害BPDは、
・対人関係において相手を操作することがその特徴です。
・BPDは対人関係、人と人との境界において起きる問題であるという意味で、「ボーダー」と呼ばれることが腑に落ちます。
・「操作」は人が弱っている時に自然に行ってしまう行動ではありますが、それに頼ることがあまりに多い、不適切な場面でも行ってしまう、となるとBPDと呼ばれるような状態、ボーダーライン状態になります。
・BPDに対しては「ボーダーラインシフト」で「生暖かく支援する体制」を統一して取ることが大切です。

そして、
・操作されやすい人、すなわちBPD者の相手、ターゲットにされやすいタイプの人が居る、と書いてきました。

BPDの操作対象になりやすいのは


BPDの操作は恋人関係の甘え、親子関係の甘えと区別がつきにくいと
先に書きました。
なので、こういった個人的な関係にある人はBPDの相手、ノンボーダーになりやすい。
それは男女関係でBPD状態、BPD関係になっていることからわかりやすいですよね。

それだけではなくて、その人柄、もともとの素質としてBPD関係に巻き込まれやすい人たちがいます。

それは、おそらく医療者です。

看護師であるとか、ケースワーカーであるとか、医者であるとか。
教員とか相談員と呼ばれるような支援職の人もそういう人が多いと思います。
「人を助けるような仕事」と言われる人たちですね。
 ここでは医療者だけにしておきます。

医療者になるのは、どんな人か。
人を助けること、感謝されることが好き、
人を助けるために、苦労を引き受けられる、
 人を助けることを仕事にしようと思うくらいにひとがよい

建前かもしれませんが、
本当に嫌なことは人は仕事に選ばないので、
少なくとも「どっちかといえば人を助けるのが好き」とは答える人なはずです。

でも、
その自分が苦労して、相手の苦痛を取ってあげたい、そして感謝される、という対人関係に馴染んでいる、
その医療者の習性は、BPD者にとって、格好の操作の対象になってしまいます。

BPD者と医療者であるノンボーダーの組み合わせは、
依存するものと依存させるもののカップリングですから、満たされたハネムーン期で始まります。
そして、支えることが習性である医療者は、より長く賞賛とこき下ろしのup-downに堪えるでしょう。
でも、そんな医療者にも限界は来ます。
それまで貯めこまれた混乱のエネルギーが一気に放出され、BPD状態の混乱は大変なことになるでしょう。

BPDの天敵:医療者


このように医療者にとって BPD者は天敵です。
人の役に立ちたい、というその心性を利用されて振り回されてしまい、疲弊してしまうから。

であると同時に、BPD者にとって医療者は天敵です。
何故なら、医療者が関わることによってBPD者はその操作行動でハネムーン期が築かれ、満たされた時間を過ごし、そして激しい失望と共に混乱を起こしてしまいます。
BPD者はそれで幸せなのか、と言われれば、そんなことはありません。

BPD状態の混乱はジェットコースターです。
そのupの位置エネルギーが大きければ、
downに使われるエネルギーも大きくなる。
つまり、BPD状態の混乱はひどいものになってしまい、
BPD者も傷つき、疲弊します。


医療者はBPD者にとって、格好のターゲットに見えて、
実はひどい混乱と困難にさせられてしまう相手。
よりこじれて厄介になりやすい。そして、お互いが不幸になりやすい。
とても危険な組み合わせなのです。


ここまで来ましたが、書ききらない。
医療者の基本的な心性の課題と、BPDのターゲットになりやすさ、
そして医療者はどうしたら良いか、についてはまた次回に。