本当に順調にいったなら
「問題」が業務の成果の不足であった場合でも、
問題行動であった場合でも、
順調に予定の期間を勤怠の乱れもなく過ごし、
少しずつではあっても業務能力を向上させて行けるなら、
または問題行動が出てこないのであれば、
本当に「『問題』=病状だった」ということでしょう。
めでたしめでたし。
でも、そうとばかりは限りませんね。
「問題」が成果不足の場合
「問題」が業務の成果の不足であった場合、
順調に予定の期間を勤怠の乱れもなく過ごし、
少しずつではあっても業務能力を向上させて行けるなら、
復職のステップとしてはひと段落です。
病状はコントロールされています。
しかし、
勤怠に乱れはなかったとしても、
少しずつ向上していったとしても、
本来の期待される業務能力に満たないことはあるでしょう。
残念ながら。
成果を客観的に評価し、
教育と指導を繰り返し、成果の向上を図っていっても、
本来の期待される業務能力に到達できない。
その場合に初めて、
付与されている業務と本人の能力とがアンマッチだということがはっきりします。
ようやく準備しておいたプランBの出番です。
配置転換や職種転換などにより、
本人の能力を発揮できる仕事を探すことになるでしょう。
「問題行動」が遅刻や無断欠勤という勤怠の乱れであった場合
病状は再発しなかったとしても、
遅刻や無断欠勤という勤怠の乱れが問題行動であった場合には、
目に見える病状悪化がなかったとしても、
本人は「大丈夫、もう再休職する必要はない」と言っていても、
また遅刻や無断欠勤が出てくることがあるかもしれません。
そんな時には、
まず本人に病状が悪いのか確認します。
でも「違う、病状じゃない」というわけです。
なので主治医に確認しましょう。
<これは病状でしょうか?>
→ Yes、「病状悪化です」というお返事ならば、再休職の方向です。
→ No、「病状は悪化していません」というお返事であれば、
これはメンタルの問題ではなく労務問題です。
指導書による指導、懲戒、減給などのエスカレーションで改善を求めましょう。(指導書については後段で)
「問題」が勤怠以外の問題行動の場合
「問題」が勤怠以外の業務にまつわる問題行動であった場合、
この場合は勤怠に乱れはなかったとしても、
遠からず問題であった逸脱行動が出てくると思います。
おそらくは少しずつ出てくるはずです。
復職後の重点的な観察によって、すかさず小さなうちに拾い上げましょう。
そして、その問題行動がなぜ問題であるのかについて説明し、指導しましょう。
同時に、主治医に確認しましょう。
<これは病状でしょうか?>
Yesならば再びの病状改善を求め、
Noなら労務問題として行動改善を求めます。
指導をするということ
ここで必要な指導とは、文書で指導することです。
口頭では、あえて言えば文句、言いがかりでしかありません。
後から振り返れること、証拠に残ることが必要です。
日報に対して日々の指導記載から始めます。
同様の問題行動がなんども繰り返されるならば、
「指導書」によって指導します。
指導書には5W1Hに基づいて、客観的にその複数回の問題行動を記録し、
再発がないように求めます。
「指導書」による指導で改善されない場合には、
「懲戒処分」です。
「戒告(訓戒)」、「けん責」の処分を行い、
それでも改まらなければ
「減給」も対象になります。
その先には「退職勧奨」なども選択肢になってくるでしょう。
(懲戒などの就業規則を確認しておくことは必須です)
そんなに負荷をかけて大丈夫なの?
大丈夫です。
正しくは、大丈夫なようにしていくんです。
考えなくてはいけないのは、
”大丈夫”って何が大丈夫なのか、ということです
大切なことは、
問題行動の改善、業務成果の不足の改善を求めるのは、
業務上の正当な負荷であって、
過剰な要求ではない、
ということです
それでも病状が悪くならないか?
ということについては、
変化のあった時に主治医に確認を繰り返します。
もし正当な負荷によっても病状が悪化してしまうならば、
それは職場環境とのミスマッチです。
プランBあるのみ。
可能な限り、本人に付与できる業務について検討します。()
「改善してもらおうとする」ことは安全配慮義務! :自説
私が思うに、
メンタル不調になった「問題社員」に改善の道を示すことは、
「安全配慮義務」の実践そのものです。
まず、なにが「問題」なのか。
どのような行動が適切であり、
その人のどのような行動が不適切とされているのか。
その人にはどのような成果が求められているのか。
そして、「問題」の泥沼から抜け出すにはどうしたら良いのか。
どのような行動ができたら「問題」が改善されたと判断されるのか。
「問題社員」本人と上司ら会社側スタッフとでそれらを共有し、
実行することで改善していく道を示すこと。
それが私の考える「問題社員」対策です。
そしてメンタル不調になった「問題社員」に対する「安全配慮義務」の実践そのものです。
でもこれまでの間、産業医は何してるの?って思いました?
ですよね。
そこは次回に。