去る2025年3月2日
東京国際フォーラムで行われた、
日本精神科産業医協会主催の産業メンタルヘルス講習会に参加してきました。
この日は、時期としては温かい20度を超えるような春の日で、
折しも東京駅と東京国際フォーラムの界隈は東京マラソンの参加者でにぎわっていました。
カラフルでおしゃれな東京マラソンのガウンタオル?を羽織ったランナーたちがそこかしこにいて、幸せオーラにあふれていました。
ランナーって、エンドルフィンが出捲ってて、なんか見ているだけでも幸せな感じになりますね。
東京国際フォーラムの辺りは外国籍のランナーのクロークになっていたのか、見るからに異国の方ばかりで、幸せオーラもいっそうだったかも。
閑話休題
テーマ:メンタルヘルス不調者に対する治療と仕事の両立支援をめぐって
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産業メンタルヘルス講演会(日精診主催)
テーマ:メンタルヘルス不調者に対する治療と仕事の両立支援をめぐって
◆基調講演
治療と仕事の両立支援と合理的配慮
座長:神山昭男(有楽町桜クリニック)
演者:佐々木孝治(厚生労働省・労働衛生課長)
◆パネルディスカッション
ケーススタディから学ぶメンタルヘルス不調者に対する両立支援の留意点
座長:神山昭男(有楽町桜クリニック)
パネリストA:高野知樹(神田東クリニック)
・発達障害の成功事例と困難事例
パネリストB:田中和秀(ひつじクリニック)
・気分障害の成功事例と困難事例
総合討論
・指定発言:小山文彦(東邦大学)
・コメンテーター:佐々木孝治(厚生労働省・労働衛生課長)
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基調講演:「治療と仕事の両立支援」
格調高く厚生労働省・労働衛生課長の
「治療と仕事の両立支援」
についての基調講演から始まります。
例によって例のごとく、
曼荼羅の様なポンチ絵を駆使して全体像について概括してくれます。
少し気になる話題としては、
2025年度には「メンタルヘルスにかかる治療と仕事の両立支援」のガイドラインが出されるとか。
壇上の先生方は作成委員のメンバーでもいらっしゃることでしょう。
気になったのは、
たぶん両立支援のガイドラインに関して、
「ここまでですよ、と労働者側に立った視点での指針を出してほしい」といった趣旨の司会者の発言。
私としては、
<それは治療をする主治医の立場からの発言であって、産業臨床で産業医に必要とされる視点とは違うのではないかな>
と感じました。
会場には日本医師会の産業医更新ポイントを稼ぐためにいらしてる臨床メインの医師も多いわけで、
そういった中で司会者が治療者目線と産業医目線をごっちゃにしていると、
混乱してしまう参加者も多いんじゃなかろうか。
大切なのは?
パネルディスカッション:ケーススタディ
後半というか、本段というかのパネルディスカッションでは、
壇上の経験豊富なお二方による、
メンタル不調による「問題社員」への対処の事例提示。
失敗事例と成功事例と並べています、というけれど
苦労はしながらもみんな最終的には良いように落ち着いていて、
みんな成功事例なのではないか、と感じたのでした。
司会者は、
「いろいろな対応を行う中で本人は改善してうまくいった、そういうことなのだけど、そのなかでも特になにが大切だったということですか」
などと事例提供の先生に食い下がっていましたが、
ちょっと違うのではないかと感じました。
何が違うって、
クリティカルな、ここぞ!という働きかけをさがしても、
それが決め手であったとしても、
その下準備ができていなければ効果は不十分で。
むしろその最後の一押しがきくための下準備として、
あれもこれも手を尽くすこと、
メンタル不調者が悪循環から抜け出して良いサイクルに入れるようなトータルの環境を醸成すること、
それが一番大切なのではなかろうか。
そして、下準備が十分にできることがセレンディピティを生むというか、
運命の女神の前髪を逃さないことにつながる。
細分化して、
「これが大事!」ではなくて、
「あれもこれもそれも」
できる手はみんな打って、
どれもが完ぺきではなくても
総合的に合格点に持っていく感じ
もちろん、
何か突出してダメなこと、
一発で致命傷な事柄についてはすぐに修正しなくてはならないけれど
「これをやったらそれでOK!」といった、
クリティカルな、
見ようによってはインスタントな取り組み方は逆効果
なのではなかろうか
逆に言うと、
壇上の経験豊富な精神科産業医と契約できていることが、
その会社での対応の成功につながっている。
良い産業医と契約して、
職場のメンタルヘルス体制を耕しておくこと。
それが回り道のようで、実は最短ルート、というか、
それしかないというか
結局は人
おまけ:両立支援が努力義務化になるであろう流れ
会の最後には
東京都精神科医療地域連携事業(区中央部)主催の
「メンタルヘルス不調者の治療と就労の両立支援をめぐって―休復職プロセスを中心にー」
と題したまた別のオンライン研修会の案内などもされていて、
この両立支援が努力義務として設定されていくこともあり、
「ここに力をいれるよ!」という行政の宣言というか、圧というかを感じたのでございました。
まあ、私は関東の最果ての地在住でございますので、
東京都の圧力はすぐには届きませんが、
そのうちやってくるであろうこの波にどう対応するか、準備はしていかねばなりませんね。
