前回は、復職をソフトランディングさせていくためには、
復職診断書には「異動が必要!」とか書かない、
「復職後は元職復帰」というのは、
厚生労働省のガイドライン通りであるし、
精神科の基本にも沿っているから、と書いた。
そして、残るは、
「元職復帰はまあわからなくはないけれど、
仕事内容が変わって、そこから不適応ーメンタル不調になった場合はどうするの?」ということへの対応。
でも、不適応からの不調の時は?
メンタル問題からの復職の際は、元職復帰が原則!と言うけれど、
仕事内容が変わったり、多忙な状態になったために、
不適応状態になって、メンタル不調になった人はどうするのか。
そう、そこがど真ん中のところですしね。
あえて言い切ってしまうと、
ここは主治医の側からの余計なアプローチは不要。
なぜって、そこは会社が考えるものだから。
会社側だっておバカじゃない、そう考えること。
会社は社員の復職準備をするもの
社員が環境が変わったことによって不調になったとしたら、
会社だってそのきっかけについて考えている。
つまり、同じことが繰り返さない、されないように対策を取るということ。
それは、
業務分担の見直しであったり、
人員配置であったり、
指示命令系統の見直しであったり。
これは会社の方が行っていく配慮であって
外部の人間がとやかく言うことではない。
従業員だって同じこと。
もっと言えば、
外部の人間が言わないと動かないとしたら、
そんな会社には戻らない方が良い。
と私は思うし、
病状から回復して冷静さを取り戻した患者さんもそう思うはず。
言わずもがな、の例え
「子:そろそろ宿題をやらなくちゃなー」
と思っているところに、
「親:すぐに宿題やりなさい!!」
と怒ってみたら、
「子:今やろうと思ったのに!!」
ってなる。
お約束。
当然のことは言わない方が良いことが多い
「親:そろそろご飯の1時間前だねー」
(子:もぞもぞ宿題やり始める)
(親:あえてエライ!とか言わない。
冷たい顔はせず、でも無視もせず見ている様子は見せて、おいしい夕飯に腕を振るう)
というのがまあまあ理想的な展開。
例え、子供が寝る前に慌ててやっていたって、
それもまた教育ではないですか。
準備を任せるための準備
会社側の受け入れ準備は会社に任せる。
そのために主治医と患者は、
<そろそろ戻るで、準備始めるやでー>と伝えて、準備を促す。
良質な会社であれば、
「復職にあたってはこんな配慮をしようと思うのだけれど、どうだろう?」
と本人に打診というか、下調べがあるはず。
さらによろしい会社なら、
主治医にも「ほかに医学的に必要な配慮事項がありますか?」と聞いてくる、はず。
それがないような会社に変化を求めたってダメ。
時には理解が追い付かないこともある
そんなダメな会社でも、
患者さんが「どうしても戻りたい!!」というのならば、
それはそれで主治医として味方していかなくてはいけない。
<ダイジョブかなあ、無理しなさんなよ>とか言ったり思ったりしながら。
きっと主治医なんかにはわからない良さであったり、
患者さんにとってのメリットがあるはず。
まとめ
ここでのまとめとしては、
会社の変化はあくまで会社主導で。
主治医の役割は、「そろそろ準備始めてやー」と促すこと。
その会社からの対策の仕上がり具合をチェックして、
その新しい状況に対するサバイバルの工夫/作戦を
従業員である患者さんと練ること。
それ以上は蛇足。
わかってないなー、というご意見、あるでしょうね
でもきっと、こう書いてくると、
主治医のお立場からは、
「でも、患者が『異動が必要って書いてほしい』っていうねん」
というぼやきだったり、
「こいつわかってナイナー」
という突っ込みが入るはず。
そんな流れで、
”復職”という治療上の一大事、ルビコン川を渡るにあたって、
主治医が患者/従業員に対してどう接するべきか、
いや、私がどうした方が良いと考えるか、
そんなことを書きたいのだけれど、
そこはまた次回に。