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契約産業医が変更になる場合、手続きは必要?産業医の立場からわかりやすく解説

契約している産業医が変更になる場面は、事業所にとってそれほど珍しいことではありません。とはいえ、「変更時に何か手続きが必要なのか?」と疑問に思う企業担当者は多いのではないでしょうか。特に、労働安全衛生法や労働基準監督署への対応が関係するため、正確な情報を把握することが重要です。この記事では、産業医の立場から、契約産業医が変更になる場合の手続きや注意点を詳しく解説します。

結論:契約産業医が変更される際は、所轄の労働基準監督署への届出が必要です

産業医が変更になる場合、事業者には労働安全衛生法第13条に基づき、遅滞なく所轄の労働基準監督署に「産業医選任届」の提出が求められます。変更前の産業医の解任届は不要ですが、新たに契約した産業医については選任届を提出しなければなりません。

なぜ手続きが必要なのか?制度と法律の解説

労働安全衛生法第13条および同施行規則第5条により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では産業医の選任が義務付けられています。これは、労働者の健康を守るために重要な制度であり、行政側も産業医の情報を正確に把握する必要があります。産業医が変更されたにもかかわらず届出が行われないと、指導や是正勧告の対象となる可能性があります。

なお、届出書には新たな産業医の氏名、医師免許証の写し、契約日などを記載し、押印または署名が必要です。電子申請も可能で、近年はe-Govを利用した手続きが広がっています。

よくある誤解:解任届が必要?契約が自動継続される?

「産業医を変更するなら、前任の解任届も必要では?」と思われがちですが、労基署への解任届の提出義務はありません。また、「契約期間が切れたが、特に連絡していないので自動で継続しているだろう」と考えるのも危険です。契約更新がなされていない状態では法的には産業医が不在と見なされる可能性があり、行政指導の対象になります。

実務での注意点:選任日と契約日のズレに注意

産業医の変更にあたっては、「契約日=選任日」となるようスケジュールを組むことが望ましいです。選任届には選任日を記載する欄がありますが、実際の契約日とズレていると、監督署から指摘を受けることがあります。特に前任者との契約終了と新任者の契約開始の間にブランクが生じないように注意が必要です。

また、契約書の締結日だけでなく、業務開始日や職場巡視日なども記録に残しておくと、万が一の監査時に役立ちます。

専門家による支援内容:産業医や社会保険労務士の活用

産業医自身も、契約書の作成や選任届の記載などについて事業所と連携を取る役割がありますが、制度運用のアドバイスや法令対応については、社会保険労務士(社労士)に相談するのが効果的です。社労士は、産業医契約の整備、労基署対応、労働時間管理や健康管理体制の整備など、総合的な労務管理の支援を行っています。

まとめ:産業医変更時は必ず届出を、専門家のサポートも活用を

契約産業医が変更になる場合は、労働基準監督署への「産業医選任届」の提出が必要であり、選任日や契約内容を正確に管理することが重要です。手続きを怠ると行政指導のリスクもあるため、社労士や産業医などの専門家と連携し、適切な体制整備を進めることが推奨されます。不明点があれば、早めに労基署や専門家に相談しましょう。