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面談の実施結果を会社が知ることはできますか?産業医が解説

従業員がメンタルヘルス不調や過重労働などで産業医面談を受けた際、「その内容が会社に知られるのでは?」と不安に感じる方は少なくありません。また、企業側としても、面談結果をどの程度把握できるのか判断に迷うケースがあります。本記事では、産業医の立場から「面談結果は会社に知られるのか?」という疑問について、医師の守秘義務や労働安全衛生法の観点からわかりやすく解説します。

結論:会社が知るのは「必要最小限の情報」に限られます

産業医は医師である以上、医師法に基づく守秘義務があります。よって、面談で話された内容がそのまま会社に伝えられることはありません。会社が知ることができるのは、健康管理上や労務管理上で必要と判断される「必要最小限の情報」に限定されます。

産業医が伝える情報の範囲とその理由

法律的な根拠:労働安全衛生法と個人情報保護法

労働安全衛生法第66条の8では、事業者は一定の条件下で労働者に医師による面接指導を受けさせる義務があると定められています。面接指導後、産業医は「意見書」を作成し、事業者に提出しますが、この内容は一般的に以下のような情報にとどまります:

  • 労働者の健康状態に関するおおまかな評価(業務継続の可否など)
  • 必要な就業上の措置(短時間勤務、休職の勧奨など)
  • 労働時間の削減や職場環境の改善提案

これらの情報は、あくまで労働者の健康を守るため、また企業が適切な措置を取るために提供されるものであり、詳細な診断名や本人のプライベートな発言は含まれません。

医師の守秘義務とのバランス

産業医は、守秘義務を負う医師であると同時に、企業との契約に基づいて「労働者の健康管理」に関わる役割を担っています。そのため、守秘義務を守りつつも、職場環境の改善や就業配慮が必要な場合には、企業側に「必要な範囲で」情報を伝える義務があります。

よくある誤解とその注意点

「全部会社に知られるのでは?」という誤解

労働者の中には、「面談で話したことがすべて会社に報告される」と思い、相談を躊躇する方がいます。しかし実際には、プライバシー保護の観点から、詳細な内容が会社に漏れることはありません。安心して相談することが大切です。

企業側の誤解:「詳細を教えてもらえるはず」

企業側が産業医に対して「本人が何を話したのか教えてほしい」と要望することがありますが、これは原則として認められません。産業医は必要な情報のみを報告する立場であることを理解しておく必要があります。

実務上の注意点:本人の同意がカギになる

同意がある場合の情報共有

労働者本人が明示的に同意した場合には、より詳細な情報を会社側に伝えることが可能になります。ただし、同意があったとしても、本人の不利益にならないよう、伝える情報の内容や方法には慎重な配慮が求められます。

意見書の取り扱いと情報管理

産業医が作成する意見書は、個人情報を含む重要な文書です。企業側では、これを関係者以外が閲覧できないよう、適切な管理体制を整える必要があります。情報の漏洩や誤用がないよう、従業員の信頼を損なわない対応が求められます。

まとめ:信頼関係を前提にした情報共有が重要

産業医面談の結果がどのように会社と共有されるかについては、「必要最小限の情報にとどめる」「守秘義務を尊重する」という原則が貫かれています。従業員も企業も、この点を正しく理解し、安心して産業医と連携できる環境を整えることが重要です。特に、メンタルヘルスや過重労働などデリケートな問題に対しては、本人の意向を尊重しつつ、適切な支援体制を構築していくことが求められます。