2026年7月15日から17日まで、東京ビッグサイトで開催された「猛暑対策展2026」に行ってきました。
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猛暑対策展/ウェアは「ペルチェ」「気化熱」で多様化、建物の遮熱や応急グッズも注目東京ビッグサイト(江東区)で7月15~17日に開催されている「第12回猛暑対策展」が、注目を集めている。 猛暑の常態化、www.lnews.jp
会場を歩き始めたときは、正直なところ、
「今年は少し出展が少ないのかな」と思ってました。
でも実は、会場が複数のエリアに分かれており、
まだ全体の半分ほどしか回れていなかった、
ということに程なく気づきました。
今年は約190社が出展し、過去最大規模だったそうで。
あらためて、熱中症対策が一つの大きな市場になっていることを実感したことでした。
展示されていた熱中症対策のもろもろ
展示されていた製品やサービスは、多岐にわたり、語りつくせませんが、
思いだして整理してみると、以下のような感じでしょうか。
作業環境を冷やすもの
工場内で使用するスポットクーラー、送風機、ミストを利用した冷却装置、屋外で使用する小型のエアコンテントなど。
工場全体の空調を改善する大規模な設備から、
作業者の周辺だけを冷やすポイント冷却まで。
建物への熱の侵入を減らすもの
屋根や外壁に使用する遮熱塗料、遮熱材、空調効率を高めるための改修など。
建物そのものに手を入れ、室内へ入ってくる熱を減らすという発想。
作業者本人を冷やすもの
空調服、水冷式の冷却服、ペルチェ素子を利用した装備、
放熱性や気化冷却を重視した衣類など。
暑い環境そのものを変えるのではなく、
作業者の身体を直接冷却するアプローチ。
水分や塩分を補給するもの
アイススラリー、経口補水系の飲料、塩分補給剤、
それに気化冷却に加え冷感や清涼感を売りにした汗拭きシートなど。
熱中症対策では水分だけでなく、塩分補給や身体内部からの冷却も重要。
身体状態をモニタリングするもの
ウェアラブルデバイスなどを使って、
皮膚温や体温の変化、心拍数、発汗量などを測定し、
熱中症リスクの上昇を知らせる製品。
これは一大グループ。
本人が体調不良を自覚する前に異常の兆候を捉えられる可能性があり、
多数の作業者を管理する職場では期待が大きい分野です。
一方で、測定している数値が何を意味するのか、警報が出た後に誰がどのように対応するのかまで決めなければ、実際の対策にはなりません。
モニタリング機器は、異常を検知した後に休憩させる、作業を中止する、冷却するといった運用とセットになって、初めて意味を持つことを再認識。
熱中症発生後に対応するもの
緊急時に身体を冷却する器具や、冷却機能を備えた寝袋型の担架など。
予防だけでなく、発症後にいかに早く身体を冷却し、搬送するかという視点。
馴染みのあるブランドは強い
展示を見ていて面白いと感じたのは、
シーブリーズ、ギャツビー、ビオレといった、
普段から馴染みのあるブランドが熱中症対策の分野に入ってきていたこと。
一般消費者向けの商品としてすでに認知されているため、
見ただけでその匂いや使用感を想像できます。
特にシーブリーズは、
現場で働く中高年男性に刺さるのではないかと。
少なくとも、自分には直撃でしたね。
新しい技術を一から説明するより、
すでに知られているブランドを熱中症対策に持ち込む。
現場への導入につなげる賢い方法かもしれないと感じたことでした。
設備型対策は、費用対効果の証明が難しい
今さらだけど、再認識。
遮熱塗料や空調改修は、展示会場に設置された実証装置を見ると、
効果は分かりやすい。
実際に手を入れてみると、
「確かに温度が違う」
と感じる。
けれども、実際の工場に導入するとなると話は単純ではない。
建物の広さ、屋根の材質、断熱性能、作業内容、既存空調の能力など、
条件は職場ごとに異なって。
施工にどの程度の費用がかかるのか、
熱中症の発生リスクがどれほど下がるのか、
冷房用の電気代がどれほど減るのか、
そして効果は何年間持続するのか。
こうした費用対効果を事前に証明することは容易ではありません。
太陽光発電はすごく良いのだけれど
物理的に日陰をつくること以上に有効な対策は、なかなかない。
夏の屋根上の太陽光パネルは、
日射を遮りながら発電し、
その電力で冷房を動かすので、
非常に合理的。
でも、古い工場や倉庫では、
屋根が太陽光パネルの重量に耐えられず、設置できないという問題がある。
日本の得意分野だという、軽量なペロブスカイト太陽電池であれば、
設置できる建物が増える可能性があるのかな。
ただし、現時点ではコストや発電効率、耐久性などに課題があるのでしょう。
風の強い群馬で暮らしている立場からすると、
軽くて薄いという特徴は、耐候性の面で問題になったりして。
熱中症対策に白い安全靴!
会場でアイデア勝負でちょっと光っていると思ったのは、
白い安全靴を展示して売り込んでいる会社。
遮熱素材とか使っているかと思いきや、
「色の違いだけです!」って。
オトコマエ。
でも、やっぱり物理学は強いですからね。
白いものを身に着けて、熱から守る。
理にかなってます。
はっさく由来成分で熱中症対策
身体の内側から「血管を守る」という発想
もう一つ、これまでの熱中症対策とは少し異なるアプローチとして興味を引かれたのが、
柑橘類、特にハッサクの果皮に多く含まれる「オーラプテン」という成分を使ったサプリメントの展示。
暑熱ストレスによって血管内皮細胞が障害されることに対して、
オーラプテンの摂取によって血管を熱によるダメージから守られるのだそうです。
熱中症対策というと、水分や塩分を補給する、身体を冷やす、暑さを避けるといった方法が中心です。
それに対して、身体の内側から暑熱ストレスへの耐性を補助するというのは、新しい感じ。
もちろん、現時点で水分・塩分補給、休憩、作業環境の改善、身体冷却に代わるものではないし、
研究結果を、実際の熱中症発症率の低下へどこまで結び付けられるかについても、今後の検証が必要でしょう。
東洋大学の発表では、オーラプテンを配合した飴やドリンクなどの商品化が予定されているとのことですが、
しかし、私が調べた範囲では、解説や研究紹介は見つかるものの、
今回展示されていた、実際に購入できる具体的な商品には、まだうまく行き当たりませんでした。
【東洋大学NewsLetter】ハッサク成分「オーラプテン」で熱中症対策 東洋大学が世界初の発見! ~水分・塩分の補給だけでは防げない?!「熱中症対策に“血管を守る”」新常識~【東洋大学NewsLetter】ハッサク成分「オーラプテン」で熱中症対策 東洋大学が世界初の発見! ~水分・塩分の補給だけwww.toyo.ac.jp
興味深いアイデアが生まれること。
研究によって効果の可能性が示されること。
それを安定した製品にすること。
さらに、一般の人や職場で継続的に使われるところまで普及させること。
それぞれの段階の間に、別々の「死の谷」があるのでしょう。
そんなで、長くなってきたので前編はここまで。
後編にもこうご期待。
