誤診の害
身体科の分野での誤診は、時に治療の結果に重大な問題を生むことがあったり、不必要な治療によるダメージを患者さんに与えてしまうことで問題になります。
胃がんを胃潰瘍と誤診してしまったり、またその逆であったり。
身体科の分野で誤診が引き起こす影響は専門家であっても、一般の人であっても大きな違いはないように思います。
一方で、メンタルヘルスの分野での誤診については、
専門家ではない方ほど「生命には関わらない、大した問題じゃない」と軽く考えられているように思います。
ちょっと患者さんの長話を聞くのが嫌じゃない内科の医者なぞが「心療内科でございます」「うつの患者さんいらっしゃいませー」とか恥ずかしげもなく公示しているのを見るにつけ、「メンタルなんて死ぬわけじゃないし、自分でもできるっしょ!」という内心が見えるような気がします。
でも、違うんです。
間違った診断によるラベリングは改善するはずの苦痛を長引かせ、時に治療困難なものとして固定化させてしまいます。
これは医師の基本的精神である、「患者を害する事なかれ(ヒポクラテスの誓い)」に反する、とても罪深い行為です
その罪深さを自覚しているかどうか、
間違った診断を伝えてしまわないように配慮しているか、
よくわからない時に<今の時点ではまだよくわからない>と自信を持って診断を保留できるか、
これはそのメンタルヘルスに関わる医者が“本物か紛い物か”を分ける決定打です。
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