いよいよ本人との面接
さて、ここまでで、
「問題社員」さんのこれまでの状況、
周囲とのミスマッチ、仕事内容とのミスマッチを確認し、
上司さんたちにも支える余裕を持ってもらう術を
考えて、
時間薬が使えるように準備しておいたところで、
いよいよ「問題社員」ご本人との面接に臨みます。
本人との面接の役割は、<本人にやる気になってもらう>こと。
いくら周りのおぜん立てが整ったところで、
本人がやってみるつもりにならなくてはどうしようもありませんからね。
本人にしてもらいたいこと
何にやる気になってもらうかって、
それは明確。
<今までとは働き方を変えること>です。
なぜなら、
今までと同じであれば、同じように不調を繰り返してしまうリスクが高いから。
そして変えてもらうのは「働き方」、
つまり「行動」。
考えだとか、根性だとか、人柄だとかを変えてもらおうとはしません。
もちろん、仕事の成果は上げられるようになってもらう必要はありますが、
それも成果が上がらない「働き方」から、
成果が上がる「働き方」に変えてもらうこと、
その練習をしていっていただくことです。
どんな先入観で臨むか
本人にお会いする時のこころ構えは、
「『困った人』は『困っている人』」
これにつきます。
<貴方は本当は困っていたんだよね?>
<上手くやれるようにしたかったけど、
そのためにどうしたら良いのか、それがわからなかったんだよね?>
という、医師であればごく自然なスタンスです。
「先入観を持ってはいけない」というファンタジーがありますが、
あれは呪いです。
「見た目に惑わされてはいけない」とかと同じ。
心を無にして悟りを開く、というのに近いです。
仙人とかになれば別なのかもしれませんが、
凡人である私には無理。
害の少ない先入観、役に立つ先入観を持って臨むのが、
成功への打率を上げる道です。
うまくいかなかったことはみんな病状のせい
そんな先入観の下、
始まる面接のベースは”Yes set ”
まず、お名前の確認、
御齢を聞いて、入社して何年目かを聞いて。
お休みに入った時期を確認-Yes
お休みし始めたころの一番つらかった症状、休まなくてはならなかった理由を教えてもらう。
<なるほど、それはツラかったですね>
<今はそれが改善して、また働ける状態になったということですね?>-Yes
そして、
お休みに入る前の働きぶりについて確認する。
<お伺いしているところでは、お休みされる前には○○な状況にあって、なかなか力が出せていなかったと伺っています>
<これもやはりそのお休みされる前の状態の影響ということでしょうか?>-Yes
<そうですよね。不調の状態では、仕事に集中して力を発揮していくこと、成長していくことも難しいですものね>-Yes
<では、いまは病状は回復したということは、お仕事の面も改善していけるということですね???>-Yes
能力発揮のケースで考えてみたが、
問題行動のケースでも同じである。
<○○のようなことがあったようですが、これはやはり不調で余裕がなくなっていらっしゃったためでしょうね?>
のようになる。
外在化
つまり「外在化」のフレームワークである。
「問題社員」本人が悪いのではない、
病状が悪かった、ために「問題」に至っていたのである。
そして病状は回復した。
つまり「問題」は改善されるはずである。
それは本人にとって望ましい事であり、
会社にとっても望ましい事である。
まず過去の「問題」を現在の本人から切り離し、
”そこから変化している”ことを復職のスタート地点に据える。
このスタート地点で本人と握手すること、
それがまず復職に向けた面接の最重要事項だと思うのです。
もう少し続きます