「アルコール性うつ」って軽く見られてるんじゃないの?むしろ無視されてるんじゃないの?という話
「アルコール性うつ」の存在については、そういうアレルギーがあるよ、という水準の話で、まともに考えれば当たり前の話です。
でもさっぱり注意を払われていません。なんなんでしょうね
|日本の文化なのか?|
飲酒行動自体は、違法行為ではありませんし、世の文化や楽しみを生むもとになっているようです。「飲むために生きてる」ような人は少なくないですよね。
ワイン趣味とまでいかなくても、「どこのお酒がおいしかった」といった話題もとても便利なものだと思います。
日本では「うさ晴らしにやけ酒」という文化的行動があります。また「晩酌をすることが成人の証」のような文化もあるように思います。
他の国に暮らしたことはないので、日本特有の事なのかは定かではありませんが、日本はアルコールの害に寛容というか、アルコールの害を無視しようとする国であるようです。
|精神科医がいかんのか?|
大部分の精神科医はアルコールの気分への影響について語らず、睡眠への害も、気分への害も、薬物療法の効果を損なうことも説明しません。
「そんなの常識でしょ」とか。
でも頭の中では(医学的には)常識だとは思いますが、「うつ」に薬出すのに禁酒指導なんてされてないですから、医療的には常識として扱われてないというのが正しい。
個人的には処方薬の副作用を説明するよりも、「セロトニンがウンヌンカンヌン」とか講釈垂れるよりも、はるかに重要で、患者さんへの害を減らし、治療効果のあることだと考えます。
精神科医をやっていても「アルコール性うつ」に触れる人はほとんどいません。
たぶん、みんな自分自身がお酒を嗜好品として楽しむからだと思います。
人は一貫性の法則により、自分が楽しみとすることを批判するような行動は困難です。「といっても、俺もそんなことあるんだよなー」って。
生徒の目の前で煙草をふかしながら「こんな煙草なんて吸っちゃイカン!」と説教する、昔の高校体育教師を見習うべきですね。
|「職場のうつ」では|
産業医として面接を行っていると、
メンタル不調での相談に「アルコール性うつ」の要素が強い人をしばしばみかけます。
そういう意味では、私も精神科産業医となってからより意識するようになった状況かもしれませんね。
私自身はほとんど飲酒しません。
人にコントロールを指導するという意味では、私は自分の飲酒欲求をコントロールしていないので、失格ですね。 笑
まとまりませんが、飲酒という日常の行為からも「うつ」になるということ、でした。
この項ここまで。