おおた産業メンタルラボ

ブログ・お知らせ

さらに産業医はどうしたらよかったのか 産業医のトリセツを作りたい その5

前回、
産業医には、
長期的な展望を共有すること、
産業医自身の立ち位置を説明すること、
その二つが必要だ。
と書きました。

今回はその続き。
もっと大切かもしれないことを書きます。

それは、仲間を増やすこと。

みんなで寄ってたかって良くする


この場合の産業医になにが不足していたと感じるかって
仲間を増やそうとしていないこと、です。

ドラクエだって、2からは仲間を作って冒険するわけで、
産業医が自分一人で休職者と面接するなんて、無謀も良いとこ。
数は力、力こそパワー!なのです。

なんの力かって?
それは事態を良い方向にしていく力にまちがいないのです。

産業医一人で事態に立ち向かったからってえらいわけでも、
給料が上がるわけでもありません。

医療だってチーム医療が当たり前。
みんなで寄ってたかって良くする。
それが時代の趨勢ですし、
治療力というか、良くする力を高める間違いない方法です。

で、誰を仲間にするの?


誰を仲間にするかが問題になるわけで、
誰がNPCで誰が仲間候補なのか、
リアルワールドではその見極めが必要です。

まずは産業保健師でしょうか。
その職場にいれば、にはなるけれど。
できれば産業医のイエスマンではなく、
自分なりの矜持をもってやってくれる方だと嬉しい。
というか、
産業医の面接で、足りないところに口をはさんでくれるような、そんな保健師を育てておきたいところ。

次に会社の人事労務スタッフ。
復職判定の際に必要な会社のルール、就業規則をつかさどる存在。
休職にまつわる事務的な関与を任せられる。

そして休職者本人の上司。
会社でのこれまでの本人の良いときの状態と、
本人の良いところを教えてくれる存在。
休職直前と良いときとを比較した客観的な視点を提供できる存在。

他にも、
オブザーバー参加にはなりましょうが、
休職者の家族にも登場いただいて、
状況を教えていただくと良い場合もあると思います。

そして最後が、
休職者本人。
この休職・復職という山場に挑む主人公。
彼(彼女)が仲間にならなくては冒険が始まらない。

何に挑むんだっけ?


仲間を集めて、
挑む仮想敵、
それはまず正面に現れている「休職・復職」。
そしてその後の「長い会社員生活」。

「休職・復職」ということについては、
会社の就業規則にそのルールが定められているはず。
この場合のルールとは合格基準みたいなものですね。
だからどうしたらその合格基準を満たせるのか。
あとどんなところを伸ばせば合格基準に達するのか。
どんな行動をすれば、
どんなフラグを倒せばイベントクリアの基準を満たすのか。
それを仲間みんなの力で達成していく。

それが「外在化」なのでした。

そして外在化するためにもっとも簡単な第一歩は、
本人と産業医以外の第三者を面接に入れることだと思うのです。

逆に言うと、1:1で、正面から向き合って対峙したら、
そりゃ対立関係になるのも当然です。
まず仲間を増やして、よってたかって良くなってもらう、
それがカリスマ産業医でないものの戦略でしょう。

対立しないための座り方、机の配置


面接の際の座り方でも、
対立関係になりやすくなります。

対立関係にもっていかないためには、
まず椅子と机の配置を相対させない、
正面から向き合っての対峙をさける。
これは基本中の基本。

机の角などを挟んで90度くらいで座るのがいいと思います。
で、記録を取るなどして、視線が直接ぶつかり合うのを避けます。
おそらく外来診察室などはそのようになっていると思います。

初心者の頃にどこかで読んだような記憶なんですが、
どこだかは良く分かっていない、という。

まあ、師匠とかは正面に座るようでいて、斜めに構えて視線を外す、というのを自然にしていたりするのですが、
机といすの配置が変えられればそれに越したことはないと思います。


ウーム、
もう一つ産業医にさせたいことがあるんだけれど、
また次回にします。