おおた産業メンタルラボ

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ポリヴェーガル理論について その1 自律神経系についての仮説

自律神経系についての話が続きました。
自律神経系といえば、いまアツいのは「ポリヴェーガル理論」ということで、
今回は「ポリヴェーガル理論」について書いてみます。
 
まずはじめに、ポリヴェーガル理論は、一つの仮説です。
まだ証明されたり、定説とされている考えではありません。
ただ、私の考えでは、このポリヴェーガル理論により、危機的状況に対する人の反応、
特に性暴力の被害者や、ASD者の「凍りつき」を理解する時に役に立つように思います。
 
 

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OD、あるいはPOTS、起立性調節障害について

前回の「自律神経失調症」に続いて、今回はODについてです。
ODと言っても精神医療ユーザーなどが言うオーバードーズ(Over Doses:過量服薬)ではありません。
起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)です。
POTS:Postural Orthostatic Tachycardia Syndromeという表現もあるようです。
個人的には、POTSの方が病態を表しているし、症候群だし、紛らわしくないし、
で、良い呼び方なのではないかと思ってます。
と言って、紛らわしさを面白がってネタにしたりしてしまいますが。
 

|まずはまともな説明|
―――――
起立性調節障害(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome, POTS)は、主に立ち上がったり長時間立っている際に、心拍数が異常に上昇し、めまいや倒れることがある症候群です。これは、自律神経が血圧や心拍数をコントロールするのに問題があるため起こります。主な症状としてはめまい、倦怠感、頭痛、集中力の低下などの症状が現れます。
これは自律神経の調節異常に起因しており、血液の適切な循環が保たれないことが特徴的です。
―――――

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精神科医が使わない言葉「自律神経失調症」

精神科用語のようでいて、実は精神科医がほとんど使わない言葉。
今回はそんな「自律神経失調症」について書いてみます。
 
詳しくは下記の「正しい説明」を参照していただいて、
簡単に言うと「自律神経失調症」とは、
「生活習慣の乱れや心理的ストレスの過多によって起きる、身体の自動的な調節能力のバランスが乱れてしまった状態」のことです。
 
まあそういう診断名はあります。
でも、はっきり言って、精神科医はほとんど使いません。
精神科医が出会うのは、患者さんから「紹介元のかかりつけの先生にそういわれたんです」という状況ばかりです。
イメージとしては一般の開業医が「あー、自律神経失調症ですねー」と患者さんにとりあえず丸めて伝えるために使っているのでしょうか。
<そういっておけばなんとなく納得するだろう>みたいな。
 

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精神医学用語のようでいて曖昧な言葉「ノイローゼ」

多くの人が見聞きしたことはあるし、なんとなく使ったこともあるかもしれない言葉、「ノイローゼ」。

産業医面接や精神科の初診場面などでも患者さんまたはご家族から「それが原因でノイローゼになっちゃってー」などとしばしば出てくる言葉です。
でもこれって結構あいまいで、便利な言葉で、でもどんな事を言っているんでしょう?
今回はその「ノイローゼ」について書いてみます。
 

「ノイローゼ」、その元は、と言えばドイツ語“Neurose”なのでしょう。
英語だと“Neuroses”、直訳すれば「神経症」になりましょう。

「神経症」自体が最近の操作的診断基準だと消されてしまった言葉で、またこちらは別に解読してみるのが必要ですが、今回は「ノイローゼ」。
日本語になった「ノイローゼ」は必ずしも「=神経症」として使われているわけでもなさそうです。

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推しの本:「とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか? 」2021年 下園壮太著

読書療法、読書セラピー、ビブリオセラピーというものがあります。
イギリスでは政府公認なのだそうです。
説明するには「心を整え、力をくれる新しい読書法」なのだと言いますが、
出てくるのは、かの有名な「夜と霧」であったり、ちょっと格調高いのですよねー
 
私は<本はとにかく面白いが一番。面白くなければ読書じゃない>という感じ。
だって読んでられないですもの。
今回はそんな私が推す、お勧めの本の紹介なぞを。
 
「とにかくメンタル強くしたいんですが、どうしたらいいですか? 」2021/9/21 下園壮太著
www.amazon.co.jp/dp/4763139266

 
著者は心理カウンセラー「下園壮太(しもぞの・そうた)」さん
「元・陸上自衛隊衛生学校心理教官。陸上自衛隊初の心理幹部」(Amazon著者プロフィールより抜粋)
「うつ」にまつわる本を多く書いていて、私もいくつか読ませていただいています。
ピンとくる本もそうでない本もあったのですが、
この本は良いと思うです。

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