おおた産業メンタルラボ

ブログ・お知らせ

使わない言葉 「安定剤」 その1

世の人々は「安定剤」がお好きなようです。
初診の外来で「安定剤を出してもらいたい」「安定剤を飲んでいる」と何度聞いたことやら。
 
「安定剤」とは何でしょう?
「精神安定剤」でGoogle先生に訊いてみると、でるわでるわ。
“抗不安薬(精神安定剤)の効果と~”とか。
“抗不安薬とは、いわゆる「精神安定剤」のことであり~”とか。
 

Wikipediaで引いてみても
“精神安定剤(Tranquilizer)は、現代的な呼び方では抗不安薬に相当する向精神薬の一種である。当初トランキライザーの語が精神障害に有効な薬を指して使われ、1958年には静穏剤の訳語も紹介された。1960年代にベンゾジアゼピン系の薬剤が登場しトランキライザーと呼ばれるようになり、次第に神経症の不安に有効なものをマイナートランキライザー、抗精神病作用のある薬をメジャートランキライザーと呼ぶようになった。”(引用終わり)
 

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産業医はどうやって従業員本人の味方をするか または「産業医と二人で相談したい」と希望されたとき

従業員本人から「産業医と二人で相談したい」と希望されることがあります。
その場合でも、1対1での面接にはしない方が良いこともあります。

産業医が本人と1対1で会うことがアリなのは、
本人が会社に関係のないプライベートなことを相談したい場合です。
そういう人は多くはありませんし、そもそも会社でその相談をすることが適切なのか、ということが話題になります。


もう一つは、本人が何をどう取り組んだらいいのかわからない時です
この場合は、本人と一緒に課題や困りごとを整理して、取り組む順番や、味方を増やす作戦を考えます。
会社では多くの場合、上司や会社側スタッフを入れて一緒に取り組む、次の面接を準備することになります。

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使わない言葉「原因」

あるのは「きっかけ」です。
 
精神科医や産業医として面接する際につかないないよう気を付けている言葉。
今回は「原因」について。

 
日本人は?どうにも「原因」という言葉が大好きです。
合理的思考を重んじて、「こうなればこうなる」といった因果律がはっきりしていることを好むこと、
少なくともそれを尊重している姿勢を見せることは、
日本人の美徳と位置づけられることのひとつです
 
不調になった時に、「これが悪いんだ!」と他責の気持ちの行先を求めるのは、人の自然な気持ちの働きです。
それが言葉として現れるのが「原因」という言葉なのかもしれません。
 

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意識して使わないようにしている言葉「わかりました」

精神科医として、産業医として面接を行う際に、意識して使わないようにしている言葉がいくつかあります。
今回はその中の一つ「わかりました」について書いてみます。
 
「わかりました」という言葉があります。
相槌というか、相手の説明への反応で使う言葉です。
私は精神科医として、この言葉は意識して使うことを避けています。
 
言い直してみれば、
<あなたの云いたいことは伝わりました>
<あなたの主張することを理解しました>
ということになりましょうが、
実際に使われているのは、
<あなたの言いたいことはわかりました。もう時間の無駄なので止めてください>という意志表示としてです。
 

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「カウンセリング」は何をするものなのか?

前回、「『傾聴』ってなに?」で
<傾聴とはただ聞くことではなく、あれこれ訊きながら聴くことである>、
皆さん「面接で説教なんて聞きたかないよ」と思っているので「カウンセリング」なるカタカナ用語に期待している、
と書きました。
 
といって実際のところ、
「カウンセリング希望」という触れ込みの人に<カウンセリングを受けてどうなると期待しているの?>と尋ねると、
皆決まって「なんかー話を聞いてもらってーアドバイスとかしてもらえればー良くなるんじゃないかと思ってー」などと言ってくるのです。
ちょっとそれは考えたらずじゃあありませんか?と。
 
今回はそれを受けて、「カウンセリング」は何をするもの/してもらえるものなのか?について書いてみます。
強調しておきますが、私見です。
 

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