世のトピックである「発達障害」、とりわけ「職場の発達障害」について、
私が精神科産業医として、発達障害を疑われる従業員に関わるときの基本姿勢について書いてみます。
|職場の発達障害に出会う時|
職場の発達障害、ということは、対象者は間違いなく成人です。
ほぼすべての方が、これまで発達障害と診断されてこなかった人です。
そして職場の発達障害、なのでほとんどの方が他の人と同じように仕事ができない、といったことをきっかけに産業医は出会います。
自分から困って支援を求めて産業医の下にくる方もいますが、間違いなくその上司も対応に困っています。
私が出会うのは、本人は困り感はさほどなく、上司だけがひどく困っている、という状況である場合も多いです。
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「うつ」の誤診、または過剰診断の害、それを伝えてしまうことの害 その3
|なぜ過剰診断されるのか|
なぜ過剰診断がされがちなのでしょう?
重症にとっておいた方が安全策だから?
確かに病気の重症度、という医学的な物差しで測れば、
狭義の病気である「うつ病」の方が重症ではありましょうが、
病気の重症度とご本人の苦痛は比例するものではなく、「軽ければ良くなりやすい」というものでもありません。
「うつ」の誤診、または過剰診断の害、それを伝えてしまうことの害 その2
|過少と過剰と|
誤診には過少診断と過剰診断とがあります
うつ病に関連するもので行けば、
「うつ病」を、「うつ病」ではない「うつ」、としてしまう誤診:過少診断
「うつ病」ではない「うつ」を、「うつ病」としてしまう誤診:過剰診断
となります。
「うつ」の誤診、または過剰診断の害、それを伝えてしまうことの害 その1
誤診の害
身体科の分野での誤診は、時に治療の結果に重大な問題を生むことがあったり、不必要な治療によるダメージを患者さんに与えてしまうことで問題になります。
胃がんを胃潰瘍と誤診してしまったり、またその逆であったり。
身体科の分野で誤診が引き起こす影響は専門家であっても、一般の人であっても大きな違いはないように思います。
一方で、メンタルヘルスの分野での誤診については、
「治る」ということ 私の伝え方 「うつ」はどう良くなるのか その2
|「治りますか?」への私のこたえ|
「治りますか?」に対する私の返答は多くの場合、<良くなります>です。
<今の苦しい状態は必ず良くなります>
<「治る」という言葉は「うつ」にはちょっと使いにくいです>
<「元通り、何もなかったようになること」が「治る」ことなら、そうはなりません>
<でも、今の苦しい状態は必ず良くなります>
<良くなった後に繰り返さないための工夫を続ける必要があります>
<人によるとそれを「治った」という人もいるかもしれません>
といった説明をします。