おおた産業メンタルラボ

ブログ・お知らせ

契約期間中に労働者数が変動した場合の対応は?産業医の立場からの解説

結論:労働者数の変動によっては産業医の選任義務が発生・解除されることも

契約期間中に労働者数が増減した場合、一定の基準を超えると産業医の選任義務が新たに発生したり、逆に解除されたりする可能性があります。 労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、産業医の選任が義務付けられているため、契約期間中であっても人数の変化に応じた対応が必要になります。

労働者数と産業医選任義務の関係

産業医の選任義務は、「常時使用する労働者数」が50人以上となった場合に発生します。この「常時使用」は、短期的な増減ではなく、継続的な雇用見込みがあるかどうかで判断されます。 たとえば、以下のような状況が該当します:

  • 契約社員や派遣社員であっても、常態的に雇用される予定がある場合はカウントされる
  • 季節的・一時的な増加であれば、産業医の選任義務が直ちに発生するわけではない

一方で、労働者数が49人以下に減少した場合は、産業医の選任義務は解除されることになります。ただし、労働者の健康管理の観点から、引き続き産業医の助言を受けることは推奨されます。

よくある誤解:一時的な増加でも即座に産業医が必要?

「繁忙期にアルバイトを増やしたから産業医が必要になるのでは?」という質問をよく受けますが、法律上は一時的な増加は対象外とされています。 「常時使用」の基準に当てはまるかどうかが判断基準であり、単なる短期雇用では義務の対象にはなりません。 また、「1日だけ50人を超えた」などのケースも、原則として選任義務は発生しません。

実務での注意点:報告義務と選任手続き

産業医を新たに選任した場合は、選任日から14日以内に労働基準監督署へ届け出る義務があります(労働安全衛生法第13条)。このため、労働者数の増加が一時的ではなく恒常的なものとなる見込みがある段階で、早めに準備を進める必要があります。

また、産業医を解任する場合も、変更届を提出する必要があります。産業医との契約書にも「労働者数が減少した場合の契約解除条件」などが明記されていることが多いため、契約内容の確認も重要です。

産業医としてできる支援内容

産業医は単に法令上の要件を満たすための存在ではなく、以下のような面で企業を支援できます:

  • 労働者数の変動に応じた健康管理体制の見直し提案
  • 急激な人員増加による過重労働リスクの評価
  • 衛生委員会の開催や職場巡視の頻度調整

特に急速に規模が拡大する事業場では、健康管理体制が追いつかないことが多く、産業医が中立的な立場から助言することが企業の安全衛生活動にとって重要です。

まとめ:労働者数の変化は早めに対応を

契約期間中であっても、労働者数の変動がある場合は、産業医の選任義務や契約の見直しが必要になる可能性があります。特に、50人という基準を前後する場合には、早めに人事・総務部門と連携し、産業医や専門家と相談の上で対応することが重要です。