なぜ「高ストレス者の判定」が注目されるのか
ストレスチェック制度が義務化されたことで、「高ストレス者」と判定された場合の対応に関心が集まっています。とくに企業の人事・労務担当者や管理職の方々は、「誰がどうやって高ストレス者を判定するのか?」という疑問を持ちやすいポイントです。産業医にとっても、職場のメンタルヘルス管理において非常に重要な役割を担う部分です。
高ストレス者の判定は、一次的にはシステムで自動判定される
ストレスチェック制度における「高ストレス者」の判定は、主に厚生労働省の推奨する評価基準に基づいて、使用しているストレスチェックツール(質問票)とその結果をもとに自動的にスコアリングされます。
具体的には、「職業性ストレス簡易調査票(57項目版)」を使用している場合、以下の3つの指標から総合的に判断されます:
- 心理的なストレス反応の高さ
- 仕事の量・質、上司や同僚からの支援など職場環境要因
- 総合的なストレス評価
これにより、基準を超えるスコアの従業員が「高ストレス者」と自動判定される仕組みです。
産業医の役割:最終的な確認と面接指導の判断
自動判定された後のプロセスにおいて、産業医は重要な役割を果たします。自動的に「高ストレス」とされた従業員が、実際に医師による面接指導を希望した場合、その実施を担当するのが産業医です。
また、以下のような場合には産業医が判断を補足・調整することもあります:
- 面接指導の必要性について、本人の意思とは別に企業が産業医に意見を求めるとき
- 高ストレスとされなかったが、明らかに不調が疑われるケースに対する助言
このように、最終的な健康管理の専門家として産業医が関与することで、より適切な職場対応が可能になります。
よくある誤解:すべて産業医が判定すると思われがち
「高ストレス者は産業医がすべて判定している」という誤解はよくあります。実際には、前述のとおり判定そのものはストレスチェックシステムが自動的に行い、産業医はその後の面接指導や職場環境改善へのアドバイスといった対応を担う立場です。
また、「産業医が本人の同意なしに面接を強制できる」と考える方もいますが、原則として従業員の同意がなければ面接は行えません。従業員のプライバシーや自主性が尊重される制度設計となっています。
実務での注意点:スムーズな面接指導への導線づくり
産業医として注意すべきは、高ストレス者に対してどのように面接指導へつなげるかという実務対応です。本人が希望しない限り面接は行えないため、企業の産業保健スタッフや人事との連携、信頼関係の構築が欠かせません。
また、面接指導の結果として、就業上の配慮(勤務時間の調整、配置転換など)を企業に提言することもありますが、その内容が実行可能かどうか、企業内の体制との調整も必要になります。
まとめ:高ストレス者判定はシステム主体、産業医は支援と介入が役目
高ストレス者の判定は、基本的にはストレスチェックツールによる自動判定が行い、その後の支援・介入に産業医が関与するという流れです。産業医は従業員のメンタルヘルスを守るため、面接指導や就業上の助言を通じて、より良い職場環境の実現に貢献しています。
ストレスチェック制度を単なる義務で終わらせず、実効性のある制度として活用するためには、産業医と企業の連携が欠かせません。
