あるのは「きっかけ」です。
精神科医や産業医として面接する際につかないないよう気を付けている言葉。
今回は「原因」について。
日本人は?どうにも「原因」という言葉が大好きです。
合理的思考を重んじて、「こうなればこうなる」といった因果律がはっきりしていることを好むこと、
少なくともそれを尊重している姿勢を見せることは、
日本人の美徳と位置づけられることのひとつです
不調になった時に、「これが悪いんだ!」と他責の気持ちの行先を求めるのは、人の自然な気持ちの働きです。
それが言葉として現れるのが「原因」という言葉なのかもしれません。
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意識して使わないようにしている言葉「わかりました」
精神科医として、産業医として面接を行う際に、意識して使わないようにしている言葉がいくつかあります。
今回はその中の一つ「わかりました」について書いてみます。
「わかりました」という言葉があります。
相槌というか、相手の説明への反応で使う言葉です。
私は精神科医として、この言葉は意識して使うことを避けています。
言い直してみれば、
<あなたの云いたいことは伝わりました>
<あなたの主張することを理解しました>
ということになりましょうが、
実際に使われているのは、
<あなたの言いたいことはわかりました。もう時間の無駄なので止めてください>という意志表示としてです。
「カウンセリング」は何をするものなのか?
前回、「『傾聴』ってなに?」で
<傾聴とはただ聞くことではなく、あれこれ訊きながら聴くことである>、
皆さん「面接で説教なんて聞きたかないよ」と思っているので「カウンセリング」なるカタカナ用語に期待している、
と書きました。
といって実際のところ、
「カウンセリング希望」という触れ込みの人に<カウンセリングを受けてどうなると期待しているの?>と尋ねると、
皆決まって「なんかー話を聞いてもらってーアドバイスとかしてもらえればー良くなるんじゃないかと思ってー」などと言ってくるのです。
ちょっとそれは考えたらずじゃあありませんか?と。
今回はそれを受けて、「カウンセリング」は何をするもの/してもらえるものなのか?について書いてみます。
強調しておきますが、私見です。
「傾聴」ってなに?
日本でカウンセリングと言えば、ほぼすべての方が思い浮かべるのが「傾聴」です。
これはカール・ロジャーズの来談者中心療法で「積極的傾聴」として提唱されている言葉です。
専門家の面接を受けに来る人のことを「クライアント」と呼んだり、面接の記録をする際に逐語録をとることもカール・ロジャーズが始めたのだそうです。
さて、
「傾聴」について、ただクライアントの話を一方的に聞くことである、
と表面的に理解している精神科医などの不勉強者にしばしば出会いますが、それは全くの間違いです。
正しくは「積極的傾聴」。
なので、「ただ聞くこと」ではなく、
目指すのは「クライアントの云わんとすること、その時の感情、体験などをできる限りリアルに理解しようとすること」です。
注意が必要な言葉 「カウンセリング」 その3 適切な「カウンセリング」にするには。私の実践。
ここまで、その1、その2と「『カウンセリング』ってヤバい」といったことを書いてきました。
「といって、あなたのしてる精神療法はどうなん?批判だけかい?」
という声も聞こえてきそうです。
そこで今回は、「カウンセリング」や「精神療法」が安全で、かつ有効なものになるためにはどうあったら良いと思うのか、について書いてみます。
|私が意識していること|
面接や治療にあたり、私が意識して行っているのは、
・面接のゴール、目標を明確にすること
・面接の卒業、終了を目指すこと
・面接は問題を弄りまわすのを避け、解決について面接すること
です。