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順調に”病状は”再発しなければ。メンタル不調で休職した「問題社員」の復職  その6

本当に順調にいったなら


「問題」が業務の成果の不足であった場合でも、
問題行動であった場合でも、
順調に予定の期間を勤怠の乱れもなく過ごし、
少しずつではあっても業務能力を向上させて行けるなら、
または問題行動が出てこないのであれば、
本当に「『問題』=病状だった」ということでしょう。
めでたしめでたし。

でも、そうとばかりは限りませんね。

「問題」が成果不足の場合


「問題」が業務の成果の不足であった場合、
順調に予定の期間を勤怠の乱れもなく過ごし、
少しずつではあっても業務能力を向上させて行けるなら、
復職のステップとしてはひと段落です。
病状はコントロールされています。

しかし、
勤怠に乱れはなかったとしても、
少しずつ向上していったとしても、
本来の期待される業務能力に満たないことはあるでしょう。
残念ながら。

成果を客観的に評価し、
教育と指導を繰り返し、成果の向上を図っていっても、
本来の期待される業務能力に到達できない。

その場合に初めて、
付与されている業務と本人の能力とがアンマッチだということがはっきりします。

ようやく準備しておいたプランBの出番です。
配置転換や職種転換などにより、
本人の能力を発揮できる仕事を探すことになるでしょう。

「問題行動」が遅刻や無断欠勤という勤怠の乱れであった場合


病状は再発しなかったとしても、
遅刻や無断欠勤という勤怠の乱れが問題行動であった場合には、
目に見える病状悪化がなかったとしても、
本人は「大丈夫、もう再休職する必要はない」と言っていても、
また遅刻や無断欠勤が出てくることがあるかもしれません。

そんな時には、
まず本人に病状が悪いのか確認します。
でも「違う、病状じゃない」というわけです。
なので主治医に確認しましょう。
<これは病状でしょうか?>

→ Yes、「病状悪化です」というお返事ならば、再休職の方向です。

→ No、「病状は悪化していません」というお返事であれば、
これはメンタルの問題ではなく労務問題です。
指導書による指導、懲戒、減給などのエスカレーションで改善を求めましょう。(指導書については後段で)

「問題」が勤怠以外の問題行動の場合


「問題」が勤怠以外の業務にまつわる問題行動であった場合、
この場合は勤怠に乱れはなかったとしても、
遠からず問題であった逸脱行動が出てくると思います。

おそらくは少しずつ出てくるはずです。
復職後の重点的な観察によって、すかさず小さなうちに拾い上げましょう。
そして、その問題行動がなぜ問題であるのかについて説明し、指導しましょう。

同時に、主治医に確認しましょう。
<これは病状でしょうか?>
Yesならば再びの病状改善を求め、
Noなら労務問題として行動改善を求めます。

指導をするということ


ここで必要な指導とは、文書で指導することです。
口頭では、あえて言えば文句、言いがかりでしかありません。
後から振り返れること、証拠に残ることが必要です。

日報に対して日々の指導記載から始めます。
同様の問題行動がなんども繰り返されるならば、
「指導書」によって指導します。
指導書には5W1Hに基づいて、客観的にその複数回の問題行動を記録し、
再発がないように求めます。

「指導書」による指導で改善されない場合には、
「懲戒処分」です。
「戒告(訓戒)」、「けん責」の処分を行い、
それでも改まらなければ
「減給」も対象になります。
その先には「退職勧奨」なども選択肢になってくるでしょう。
(懲戒などの就業規則を確認しておくことは必須です)

そんなに負荷をかけて大丈夫なの?


大丈夫です。
正しくは、大丈夫なようにしていくんです。
考えなくてはいけないのは、
”大丈夫”って何が大丈夫なのか、ということです

大切なことは、
問題行動の改善、業務成果の不足の改善を求めるのは、
業務上の正当な負荷であって、
過剰な要求ではない、

ということです

それでも病状が悪くならないか?
ということについては、
変化のあった時に主治医に確認を繰り返します。

もし正当な負荷によっても病状が悪化してしまうならば、
それは職場環境とのミスマッチです。
プランBあるのみ。
可能な限り、本人に付与できる業務について検討します。()

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ハレモノあつかいしないために メンタル不調で休職した「問題社員」が、復職したいと言ってきたんです。 その5

主治医への情報提供と確認


「病状が悪かったので、『問題』になっていた」
というフレームで本人と同意できたなら、

休職に至った病状と「問題」の改善について整理するために、
病状について復職可能であると判断した主治医に対して、
・本人の業務内容
・これまでの本人の業務上の「問題」(業務能力不足、業務上の行動の問題)
について情報提供します。

さらに、これまでの本人の「問題」について、
今回休職に至った病状によるものであった、として本人と合意したこと、
病状が回復したことによって、その「問題」が改善されるであろうことについても合意したことを情報提供し、
医学的観点からみて問題ないか、意見いただけるよう依頼します。

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すべては病状のせい。 メンタル不調で休職した「問題社員」が、復職したいと言ってきたんです。 その4

いよいよ本人との面接


さて、ここまでで、
「問題社員」さんのこれまでの状況、
周囲とのミスマッチ、仕事内容とのミスマッチを確認し、

上司さんたちにも支える余裕を持ってもらう術を
考えて、
時間薬が使えるように準備しておいたところで、
いよいよ「問題社員」ご本人との面接に臨みます。

本人との面接の役割は、<本人にやる気になってもらう>こと。

いくら周りのおぜん立てが整ったところで、
本人がやってみるつもりにならなくてはどうしようもありませんからね。

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プランBを考えておく メンタル不調で休職した「問題社員」が、復職したいと言ってきたんです。 その3

支援者を支援するために、プランB


上司や社長という、本人の支援者、
それを支えること、
支援者が先に倒れてしまわないように準備することが必要な事で、
負けないように、ことを進めていく、
と前回までに書きました。

支援者を支援するそのためには、
<こうすれば大丈夫です>や、
<こうしてみましょう>
という提案が大切なわけですが、
特に重要だと思うのは、
<これでやってみて、ダメなら次はこうしましょう>
というプランBを作れることです。

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まずだれを支えるか メンタル不調で休職した「問題社員」が、復職したいと言ってきたんです。 その2

まず時間を稼げるようにする


メンタルヘルス対応、「問題社員」対応に限らず、
困った事態への解決志向アプローチの原則は、
うまくいっていない時はなんでもいいから別のことをやってみること

ビシッと良い手が見つからなかったとしても、
あれこれと次の手を探して試行錯誤している間に、
ゆるゆると落ち着きどころが定まっていく、
そんな「時薬」が有効な課題も珍しくはありません。
その時を待てるようにするのが専門家の仕事です。

そのためには、まずだれを支えたらよいのか?
それが重要なポイントです。

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